- 元信者さんからの報告
私は以前、平凡な主婦・ミカが偽スピリチュアル教祖様になり、霊感商法に手を染めていく小説「小説『天使さまと呼ばないで』|小咲もも|note」を書いたのですが
読者の方から、「小説やTwitterの発信をきっかけに、ハマっていたスピリチュアルなお店から抜け出すことができた」という感想を頂きました。
その方のハマった経緯や、抜け出すきっかけについても詳しく聞かせていただいたのですが、その話がとても参考になりましたので、シェアさせていただきます(報告者さんに許可をいただいております)
- 報告者さんがスピリチュアルサービスにハマった経緯
報告者さんはもともと身体が凝りやすく、時々いろんなリラクゼーションサロンやマッサージに行っていたそうです。
ある時、ポストに投函されたクーポンをきっかけに、新しいお店を訪ねてみたそうです。
そのお店はこんなところでした。
○スピリチュアルな要素を取り入れたマッサージのお店
○価格は普通の整体より少し割高なぐらい
○店主は溌剌とした感じのいいおばさん(Aさんとします)だった
○Aさん自身がかつてスピリチュアルや気功などの勉強をして、医者も直せなかったという自分の不調を治した経験があった
○その経験を活かして、「氣」や先祖の霊や念による不調で悩む人々を救いたくてお店を始めたらしい
○施術後、店主さんはいつも不思議な動作とともに「これで治った!」と言い切ってくれた
○施術には実際に効果があり、不調が治った
○当時体調で悩みがあったが、Aさんはそのことで不安を煽るようなことやスピリチュアルなこと(先祖や悪霊の仕業など)を言うこともなかった
報告者さん自体は、スピリチュアルには半信半疑なものの、それはエンターテイメントと受け止め、
またAさんが「治った」と断言してくれたことに安心感を抱いたそうです。
お話を聞いて、私もきっと当初は「スピリチュアルが好きな人がやっている、普通のリラクゼーションサロン」だったのだと思いました。
私も母が気功で不調を治した経験がありますので、スピリチュアルな要素で治る不調もあると考えています。
Aさんは実際に不思議な力もあったのかもしれません。
そこからAさんにのめり込んでいった経緯ですが、報告者さんがわかりやすく書いてくださったので、文章をそのまま使わせていただきます。
初回の来店後しばらくAさんの店には行きませんでしたが、いつもの店で予約が取れなかったある日ふと思い出して、再び店を訪ねてしまいました。
Aさんは再来店を喜んでくれて、私に以前より詳しく氣や霊や念の話をしてくれました。
霊感商法のようでそう言った話を聞くのは正直苦痛でしたが、お店の雰囲気やAさんとの世間話は楽しく感じました。Aさんは体の凝りだけではなく、風邪等の目には見えない不調も治せると話しました。
その時、私はたまたま風邪をひきかけていました。それを相談すると、Aさんは何やら不思議な処置をした後に「これで大丈夫」だと言い切りました。そして、実際にそれで体調が良くなったのです。この2回目の来店をきっかけに私は、特に不調を感じた時にAさんの店へ行くようになりました。
店に行くと体の凝りやその他の不調が楽になるので、だんだん店に通う回数が増えてしまいました。Aさんが不調を全て治ったと言い切ってくれるのが気持ちよかったですし、もし騙されていたとしても、プラセボ効果だとしても実際に体調はよくなるし、マッサージというサービスを受けているので構わないと思っていました。スピリチュアルのエンターテイメントを楽しんでいるような気持ちもありました。店へ通うようになったある日、Aさんに「遠隔ヒーリング」の紹介をされました。10分千円程度で遠隔でもヒーリングを行える、支払いは来店でのツケ払いということでした。お客さんによっては毎日のように遠隔を依頼されるということで、話を聞いていると、来店している人の中でも依存心の強い人が多くこのサービスを利用しているようでした。
最初は抵抗がありましたが、ある時、大切な予定の前に体調を崩し「ものは試しに」とお願いしてみたところ、体調を崩さず予定をこなすことができました。
私はAさんの不思議な力を完全には信じたわけではありませんでしたが、これもプラセボ効果でもなんでも、体調が改善するなら構わないと感じました。
それ以来、店に行けないときは、遠隔サービスという目には見えないサービスにも時々ツケでお金を払うようになってしまいました。Aさんは、一度の施術で不調が治り切らないときは「症状が重いから」と説明しました。そういったことは普通のマッサージや病院でもよくあることだし、症状が良くなることの方が多かったので気にしませんでした。
そうやって店に通っているうちに、コロナ禍になりました。Aさんは「コロナの気配がわかる、浄化できる」と言い始め、ある時、私の近くにコロナ感染の疑いが強い人がいることを言い当てました。(注釈:当時はまだコロナが流行し始めで感染自体が珍しい時期でしたが、実際に報告者さんの近くにいた人が、検査をしなかったため真偽不明なものの感染の疑いがかなり強かったそうです)
不安が増す私に、Aさんから「コロナを含めて、健康を損ねていないか遠隔で定期的にチェックできる」と提案されました。
チェックの月額はマッサージ1回分より安く、いつものように来店でのツケ払い、もし不調が見つかったら別料金ということでした。
体の弱い家族がいてコロナが特に不安だった私は、そのサービスをお願いして、Aさんのお店に継続課金することになってしまいます。「先日コロナについて言い当てられたし、もしかしたら、Aさんの話は本当かもしれない。」という考えは0ではありませんでしたが、この時もAさんの話を心から信じていたわけではありませんでした。ただ、「もし嘘でも、月数千円で不安が解消されるなら安心料として構わない」と思っていました。
なお、最後までこのサービスで感染や不調を指摘されることはありませんでした。この頃「天使さまと呼ばないで」を読みました。遠隔健康チェックという目には見えないサービスを受けている自分を客観視するきっかけになりましたが、まだ不安がありAさんの店から離れることができませんでした。
その後、私は妊娠をして、ますますコロナへの不安が増す事なりました。
妊娠について相談した時「お腹の赤ちゃんのパワーが万全ではないので、自分が何とかしてあげる」とAさんは言いました。
そして施術をおこなってから、この件に関しては特別な施術であり、従来の施術の数倍の金額が必要だと話をされました。
その特別な施術とやらは、事前に金額を知らせず、私の承認も取らずAさんが行ったサービスだったので大きな抵抗を感じました。
「赤ちゃんの体調を万全にするためにはこの後も同じ施術が必要」だと言われた時は、さすがに断りました。
けれどAさんには「このまま赤ちゃんの不調を知っていて何もしないのは心苦しい」「ただ、値引きをすることはあなたの運を使ってしまうことになり、あなたのためではない」と言われてしまいます。
私は、今までにAさんの施術で自分の体調が良くなることを何度も経験していました。そして私には、Aさんの話の真偽を確認する方法はありません。
産まれた赤ちゃんに何かあった時に後悔することが怖くなり、結局、その後も何度か高額な遠隔での施術をお願いしてしまいました。
出産まで何度も同じ事があったらと怖かったのですが、数回でいつものように「もう赤ちゃんは大丈夫だ」と言われることになりました。
この頃から、Aさんは少しずつ変わってきました。他のお客さんが体調不良になった話や、そのために特別な祈祷を行った話、その祈祷が高額な話等をするようになりました。特に、赤ちゃんに関して不安を煽るような話を何度も聞きました。
私は毎回聞き流すよう努めていましたが、言外に高額サービスを勧められているのだと感じられるものでした。
また、施術を行う事で自分の体にも負担がかかり辛い事、そのためサービスの値上げを行う可能性があるという話もされました。Aさんと自分の関係がおかしくなっている事や、これがいわゆる霊感商法である事は薄々わかっていました。私はだんだんAさんに会う事、店に行く事が嫌になってきました。
けれど、コロナに感染していたら助けてもらえるという、月数千円の健康チェックはどうしても不安で断ち切る事ができませんでした。
その上、妊娠に関する事でどうしても不安があった時、遠隔で2回ほどAさんに相談をしてしまいました。実際にそれで状態は良くなりましたが、だんだんAさんに相談しても、いい気分や安心よりも、嫌な気分や自分への嫌悪感が勝るようになりました。
色々な事があった妊娠中でしたが、幸い、子供は無事に生まれてきてくれました。それまでは毎日のように心配ばかりしていましたが、出産後に子育てを通して、だんだん幸せを感じる日が多くなりました。
少しずつ、私の「Aさんとの関係を断ち切るべきだ」という想いが強くなってきました。
けれど子供へのコロナ感染の心配やAさんと再び話すことの憂鬱さで決断を先延ばしにしていたある日、親戚が一家でコロナに感染してしまったという話を聞きました。
幸い重症化せず、一時は大変だったようですが無事に療養を終えたとのことで、詳しく話を聞くことができました。その時に、私は「もしコロナに感染しても、そうやって立ち向かえばいいんだ」という当たり前のことに気づきました。急に、ずっと悩んでいた漠然としたコロナへの不安が晴れていくのを感じました。
私は、Aさんへ今までのツケになっていた遠隔の支払いをしたいこと、来店ではなく振込を行いたいことを連絡しました。
すると、下記のような返信が来たのです。・徳の低い先祖がいる人を見ているせいで自分の体調が悪くなっている
・前回、遠隔でみた症状は強い霊のせいだったので、いつもより高い金額をもらう必要がある
・悪霊のせいで体調が優れない赤ちゃんが自分の親戚にもいる
・家等の建物に霊が祟るせいで、体調が悪化してしまっている人も多い
そして、遠隔サービスについて数万単位の金額が請求として記載されており、「値引きを行うとあなたの運が減ってしまうので、あなたのためにならない」と説明がありました。
遠隔サービスを以前頼んだ時は、どちらも10分程度離しただけです。店に掲示されている金額の通りなら、合計2000円程度のサービスのはずでした。
また、家のお祓いが特別高額サービスとして用意されている話を、以前Aさんから聞かされていました。私は赤ちゃんの不調に関する言い値での施術をきっかけに、Aさんにとっては言い値で請求を行ってもいい金ヅルになってしまっていたことを実感しました。
そして、サービスの値上げ、自分の不調のアピール、さらなる高額サービスの示唆や不安を煽るような話…。
Aさんが「天使さまと呼ばないで」のミカのような状態になっていることを改めて感じました。Aさんへどう対応するかは迷いました。
勉強代だと思って言い値で払う事、このまま踏み倒す事、色々考えました。
結局、「事前に金額がわかっていたらサービスを頼まなかった」という理由で請求額では払えない事を伝え、減額してもらって振込を行う事で決着しました。振込完了の連絡を行った後、Aさんからの最後の返信には「子育て中のお客さんが命に関わる体調不良になっており、自分が治療をしているので、あなたも気をつけたほうがいい」というまるで脅しのようにも感じる記載がありました。
出会った頃のAさんはこのような話をする方ではなかったので、残念に感じながらAさんとの関係は終わりました。
- スピリチュアルにハマる怖さ
ここで私が大切だと思う点は
○Aさんの施術は、実際に効果があった
○報告者さんは最後まで、完全にAさんの力を信用していたわけではなかった
という点です。
話を聞いて、私はスピリチュアルにハマる危険性が『効果がない』ことにあるわけではないのだと思いました。
むしろ効果があるものも実在するからこそ、混乱してしまうのではないでしょうか。
一番の問題は、『全てが一つの手段で解決できると思い込み、思考を放棄してしまう』という点にあるのだと思います。
(これはあらゆるカルト的なもの…スピリチュアルじゃなくても、陰謀論やマルチ商法や自己啓発セミナーなどの問題も同じことだと思います。『これだけで全て解決する』と思わせることが怖いのです)
- スピリチュアル依存から抜け出したきっかけ
報告者さんは、スピリチュアル依存から抜け出せたきっかけをこう語ってくれました。
☆不安ではなく、今ある幸せに目を向けるようになった。
報告者さんにとって一番大きなきっかけは、お子さんが無事に産まれたことです。
コロナ禍での妊娠の間、報告者さんは不安な気持ちにずっと悩まされてきました。
Aさんと出会って一時的には安心を得ますが、それは『他者から与えられる紛い物の安心感で、自分の腹から抱いた安心感では無かったから、時間が経つとまた不安になってしまった』と報告者さんは言います。
更に、不安な気持ちをなくそうと、報告者さんはいつもコロナの不安なニュースやネガティブな情報ばかり見てしまい、かえって不安な気持ちが増してしまうという悪循環にハマってしまったそうです。
しかしお子さんを育てる中で、不安なニュースを見るよりもお子さんとの触れ合いに時間を注ぐようになり、必要以上の不安を感じなくなりました。
それに伴って、Aさんへの依存心も和らいでいったそうです。
☆「人生には山も谷もあって当たり前」ということを受け止められた。
私は『ネガティブなことを恐れすぎると、カルト的なものにハマる』という話をかねてからしていますが、報告者さんにはその言葉がいつも心に響いていたそうです。しかし、完全にAさんとの縁を断ち切るにはすぐには勇気が出なかったそうです。
ですがここで、親族がコロナに実際に感染し、療養したのを実際に目にしたことで、
「もし感染したとしても、療養すればいいんだ。それと同じように、ネガティブなことが起きたとしても、それはそれとして対処していけばいいだけの話なんだ」と思うようになったそうです。
頭では理解していた言葉に加えて、実際に身近な人の経験を通して
「ネガティブを恐れすぎなくてもいい」ということを、腹の底から理解できたのです。
- スピリチュアルにハマりすぎないために
報告者さんの体験談を踏まえて、これからこうしたカルト的なものにハマりすぎないためにはどうすればいいのでしょう。
私なりの答えを考えてみました。
☆不思議な力は実際にあるが、それは特別ではないと理解する
私は、Aさんには本当に不思議な力があったように思うし、全てを気のせいで片付けることはできないと思います。
気のせいで片付けてしまうと、また他の「不思議な能力」がある人に出会った時に、必要以上に陶酔してしまうのではないでしょうか。
ここで捉えておくべきは、こうした不思議な力(氣を操れたり、予知能力的なもの)は、特別なものではないと理解することです。
聴力や視力と同じ、人間に備わった能力の一つだと思うといいでしょう。
この世界には「聴力が優れているから指揮者になれた人」や「動体視力の良さを活かしてスポーツ選手になった人」がいますね。
そうした人の能力を「すごい」とは思いますが「人間的に優れているからそんな力があるのだ」とはあまり思わないでしょう。
しかし、第六感のような目に見えないものになると途端に「神様から選ばれた人だからだ」と思ってしまいます。これは現代社会が、あまりに物質的な価値を重視しすぎてるからかもしれません。
これから何か不思議な能力がある人に出会ったとしも、「ああこの人は、スピリチュアルな能力が人より強いのね」とフラットに受け止めることが大切なのだと思います
実際に私は伯母が人の心を読むことに長けていて、人が言っていない事でもぴたりと当てる人です。
また、私は昔、たまたま出会った勘の鋭い人に悩みを言い当てられて助けられた経験があります。
私自身も、時折予知夢を見たり、虫の知らせが当たることがあります。
私の周りの友人にも「妙に勘が鋭くて、顔を見ただけで性格や体調や未来を当てる人を知ってる」という子が何人かいます。
不思議な力をもつ人は表立ってあまり言わないだけで、きっとたくさんいるのだと思います。
☆不思議な力で体調が良くなることもあるが、2割ぐらいの確率と捉えておく
上で話した通り、私の母は気功で長年の悩みだった冷え症が治ったそうです。
私自身も、霊的な原因で体調不良になった覚えがあります。{ある日母と喧嘩した時に、家の中に急に変な淀んだ空気が流れたような気がしました(意味は違いますが「魔がさす」という表現がぴったり来るような感覚でした)そしてそこから急に風邪を引いたことがあったのです。母もその時、家の中が何か変な空気になったことを肌で感じたと言いました}
また友人から、昔子供を産んで身体が悪くなってしまった親戚が、占い師から「もう一人子供を産んだら治る」と言われ、子供を産んだら本当に治った…という話も聞いたことがあります。
だから私は個人的には、いわゆる氣(この漢字を使うと胡散臭くなるので抵抗があるのですが)や霊といったスピリチュアルな要因で体調不良が起こることもありうると思っています。
でもそれは多分、数多ある中の原因の一つなのではないでしょうか。
病気の原因には、生活習慣、遺伝、ストレス、疲労、偶然…などがあると思いますが
「霊的原因」もその一つに過ぎないのではないかと思います。
病気の原因を全て「遺伝のせい」「生活習慣のせい」と片付けてしまうと、その他の要因が見えなくなるのと同じように、
「全てスピリチュアルなもののせい」と思うからおかしくなるのではないかと思います。
もし、氣や霊の力で不調が治ったとしたら、「あら、この原因はスピリチュアルなものだったのね」「2割の確率が当たったのね」と思った方が、全否定したり全肯定したりするよりも健全ではないかなと思います。
☆ネガティブを恐れすぎない
これはもう上でも説明してるので必要ないかもしれませんが、ネガティブを恐れすぎないことです。
では実際に、どうすればネガティブを恐れすぎずに済むのでしょう?
まず、ネガティブを恐れすぎる時というのは、ネガティブなことが起きる=不幸、と決め付けてる時だと私は考えます。
ですから、恐れているネガティブなことが実際に起きた時に「必ず全員が不幸になるか」を考えてみたらいいと思います。
例えば受験に失敗することを恐れている場合は
「受験に失敗した全ての人間がみんな不幸になっているか?」と考えてみます。
貧乏になることを恐れている場合は
「貧しい人間はみんな絶対に不幸か?」と考えてみます。
すると、そうではない存在もいると気づけるのではないでしょうか。
また、逆のパターンで「ポジティブなことが起きたら絶対に幸福になるか」も考えてみましょう。
「受験に成功した人はみんな必ず幸福になる」→うーん、違うなぁ…
「お金持ちはみんな幸福である」→いや、不幸そうな人もいるなぁ…
と、思えることでしょう。
そうすると、受験の失敗も貧乏も、ただの過程や環境の一つでしかなく、自分の未来を完全に決定づけるものではないと思えるのではないでしょうか。
☆依存するのは、スピリチュアルなことを信じているかどうかではなく、どれだけ強い不安を感じているかによると知る
これは今回一番私にとって目から鱗だったことです。
報告者さんは最後まで、Aさんの力には半信半疑でした。
つまり、スピリチュアルを信じているから依存するのではなく、心の中に強い不安があると、その不安を解消するために何かに縋りつきたくなるのです。
それが報告者さんにとってはたまたまAさんだっただけで、人よっては「情報商材」だったり「陰謀論」だったり「マルチ商法」だったり「自己啓発セミナー」だったりするのでしょう。
ですから、「私はスピリチュアルなんて信じない、だから大丈夫!」という人はちょっと気をつけたほうがいいかもしれません。
スピリチュアルじゃなくても、他のものにハマってしまうかもしれませんから。
不安に苛まれた時は、上に書いたように、目の前にある幸福に目を向けたり、「不安が現実化したとしても不幸が決定づけられるわけではない」ということを思い出せばいいと思います。
- Aさんを変えたもの
最初は、スピリチュアルな要素はありつつも。恐怖心や不安感を煽ることなく施術をしてくれたAさん。
この頃は、本人の言う通り善意でリラクゼーションをしていたのかもしれません。
そんなAさんをおかしくしたのは、おそらくコロナ禍でAさん自身が抱えていた恐怖と、依存心の強い客の存在だったのではないかと報告者さんはおっしゃいました。
Aさんが遠隔サービスを始めたのは、もしかすると最初は不安な人を救うつもりだったのかもしれません。「治った」と言い切ってくれるのも、お客様を励まし、プラセボ効果も狙ったのかもしれません。
しかし、「いつでも答えを言ってくれる」「治ったと断言してくれる」というインスタントな安心感は、自分の力で人生を切り拓けるという自信の裏付けがない、まがい物の安心感です。
また、Aさんの存在が無ければ成り立たない安心感です。
つまりAさんは利用者に安心感を与えていたのではなく、実際には『Aさん抜きでは安心できない』という不安感を与えてしまっていました。
こうしてお客さんがAさんへ依存するにつれ、Aさんの傲慢さが増していったように思います。
だから最後にはノーマスクになったり、「何でも治せる」と豪語するようになったのかもしれません。
またAさんは恐怖心を植え付けることで客の金払いが良くなることも、おそらく肌で感じていたのではないでしょうか。
会話の中に他人の不幸や噂話が増えたのは、そうした打算もあったのではないかと思います。
コロナ禍にしたがって施術料を高くしたり、後出しや言い値で料金を上げようとしたのは、Aさん自身も何か不安や恐怖(店舗のテナント料が払えるかや、収入に対してなど)を感じていたからかもしれません。
「施術やサービスに実際に効果があった」ということは、本来ならば良いことなはずです。
しかしそのことと様々な不安感が報告者さんの依存心を強め、
Aさんも弱さがあったからそこにつけ込んでしまったのだと思います。
Aさんが目先の利益にとらわれず、遠隔サービスのような依存心を強くするシステムを辞め、依存心の強いお客さんはあえて突き放してくれるような人だったら、もしかすると報告者さんはAさんと程よい距離感でサービスが利用し続けられたのかもしれません。
Aさんに依存する気持ちを断ち、自分の足で道を切り開くことを選んだ報告者さんは、ご立派だと私は思いました。
最後の清算の際に、言われるがまま払うでもなく支払いから逃げるのでもなく、きちんとAさんに金額の交渉をされて清算したことは、自分で自分の人生に責任を持つことの第一歩だったのではないかと思います。
報告者さん、この度は貴重な体験談と報告をありがとうございました。
- 手前味噌ですが…
私の書いた小説をきっかけに、スピリチュアル依存から抜け出してくださった方がいらっしゃることを、素直に嬉しく思います。
また、小説を書くときは「もし私が教祖様だったら、どんな言い訳をするだろう?」と想像しながら書いたのですが…それが本当にAさんの言い訳にそっくりだったことにびっくりしました。
(私も教祖業に向いてるのかもしれませんね笑、教祖化しないように気をつけようと思います)
最初にもリンクを貼りましたが、良ければ小説もぜひ読んでみてください。
最後に、報告者さんからいただいた嬉しい感想を載せさせていただきます。
読んでいただき、ありがとうございました。